脳のはなし

死亡事故が増加、高齢者に多い事故とは?

2019年は、高齢者による交通事故のニュースが頻繁に取り上げられています。
2017年度警察庁交通局の「年齢層別の死亡事故件数」によると、2017年の高齢者の運転免許保有率は、2007年と比べると75歳以上は1.9倍、80歳以上は2.3倍に増えています。

また、死亡事故件数を見ると85歳以上が最も多く、さらに75歳以上と75歳未満の運転者を比べると、死亡事故が約2倍多く発生していることがわかりました。
では高齢者ドライバーの死亡事故が多いのは、どういった要因なのしょうか。

警察庁「死亡事故の人的要因比較」によると、運転中のハンドル操作やブレーキとアクセルの踏み間違いなどの操作ミスの事故が最も多く、全体の31%を占めています。特にブレーキとアクセルの踏み間違いは、75歳未満のドライバーは全体のわずか0.8%ですが、75歳以上のドライバーは、6.2%という結果です。事故を起こした高齢者ドライバーの直近の「認知機能検査」を行うと、死亡事故は「認知症のおそれがある(第1類)」や、「認知機能低下のおそれがある(第2類)」が約半数を占めていることから、認知機能低下が死亡事故の発生に大きく影響していることが推測されます。

もちろん、高齢者の事故原因は、認知機能低下だけでなく、視野が狭くなることや動体視力の衰え、運動能力の低下などもあります。これらが統合して、交差点の歩行者や車両の見落としといった認知的なミスや、ハンドル操作やブレーキやアクセルの踏みまちがいといった判断・操作ミスを招くのではないでしょうか。

事故予防には、免許の自主返納を促すことも対策のひとつですが、同時に事故を減らすためには、踏み間違いを制御する車の導入といったことに加え、高齢者が安全に運転できるように認知機能の維持・向上の対策強化も、これからの課題ではないでしょうか。

2017年警察庁交通局「認知機能検査結果」
2017年警察庁交通局「認知機能検査結果」
2017年中に死亡事故を起こした75歳以上の高齢運転者(原付以上第一当事者)の検査結果

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