脳のはなし

ドラム叩きが認知症患者の方の認知機能改善に

認知症があっても大勢でドラムを叩くという体験を楽しむだけで、認知機能が改善する可能性のあることが理化学研究所計算工学応用開発ユニットの宮崎敦子研究員らの報告によって明らかになりました。

これまで認知症の改善に様々なプログラムが導入されていますが、ドラムはリズミカルに叩く運動のため、認知症の患者の方でも比較的、行いやすいのだそう。

ドラムイメージ画像

調査は、特別養護老人ホームの居住者46人を無作為に選出し、ドラム演奏のプログラム介入群27人、非介入群(対照群)19人に分けて実施。介入群は週に3回、1回30分、12週間にわたり、ドラムインストラクターとともにドラムを叩いてもらい、対照群は普段どおりに過ごしてもらうというものです。ドラムは演奏ではなく、即興性を重視し自由にリズムを楽しむ機会として調査されました。

調査の結果、参加率が60%に満たない人を除く22名の介入群の認知機能を示す指標MMSE(30点満点)が2.05点、FAB(18点満点)が2.36点それぞれ上昇したのに対し、対照群はMMSE3.24点、FABが0.35点低下しているということがわかりました。

この調査では同時に、上肢運動機能(関節可動域)やBMI、骨格筋量指数(SMI)についても調べており、体重や BMIの変化はなかったものの、上肢運動機能の一部の改善が認められたといいます。

今までドラムなどの楽器演奏は認知症の予防効果が高いといわれていましたが、さらに認知症患者の方の認知機能と上肢運動機能の改善プログラムとして効果が期待できそうです。また認知症が悪化してプログラムが理解できなくなっても、リズム反応運動は維持している能力なので、重度認知症の方にも適したものと言えます。

※ ご自身の脳についてもっと知りたい方は、川島隆太博士監修の「脳のはなし 6日間無料メール講座」の受講をおすすめします。

  • 脳活動と日常生活の関係性
  • 現在脳科学でわかっている事実
  • 効果的な脳の鍛え方

などを6日間にわたってメールでお伝えします。
ご登録はこちらから