脳のはなし

ビールの苦味成分が認知機能を改善!

ビールに含まれる苦味成分である熟成ホップ由来苦味酸が認知機能やストレス状態を改善することが医学誌「Journal of Alzheimer’s Disease」で報告されました。

この報告は、順天堂大学医学部精神医学講座の大沼徹先任准教授、新井平伊名誉教授らと、キリンホールディングス株式会社の阿野泰久研究員の共同研究グループが2020年5月に発表したものです。

物忘れの自覚がある中高齢者100名の健常者を対象にホップ苦味酸の摂取するグループ50名と、プラセボを含むカプセルを摂取する50名のグループに分けて行われました。

認知機能は神経心理テストを行うほか、注意機能は標準注意検査法(CAT)などを用いて評価しました。さらにストレスや気分状態については、唾液中のストレス指標やメタ記憶質問紙を用いて認知機能に与える効果について検証しました。

その結果、ホップ苦味酸を摂取したグループのほうが、摂取12週目のCATの選択的注意機能の正答率が高いことがわかりました。また、神経心理テスト後の唾液中に分泌されたストレスマーカーのひとつであるβエンドルフィンの濃度が、ホップ苦味酸グループは0週目からの変化値が有意に低値であることなどが判明したといいます。

これまで、ホップ苦味酸に、アルツハイマー病の予防効果があることは非臨床試験では報告されていたものの、臨床試験での効果は十分に検証されていませんでした。けれど今回の研究でホップ苦味酸による認知機能改善効果が確認できたことから、今後の食生活を通じた新しい認知症予防方法の開発に繋がることが期待されています。

図1 本研究より示唆される熟成ホップ由来苦味酸による認知機能および気分状態改善

出典)順天堂大学医学部精神医学講座

※ ご自身の脳についてもっと知りたい方は、川島隆太博士監修の「脳のはなし 6日間無料メール講座」の受講をおすすめします。

  • 脳活動と日常生活の関係性
  • 現在脳科学でわかっている事実
  • 効果的な脳の鍛え方

などを6日間にわたってメールでお伝えします。
ご登録はこちらから