脳のはなし

アルコールの飲み過ぎは、認知症リスクが3倍に

フランスの研究グループが、2018年に医学誌『The Lancet Public Health』で、アルコールの飲み過ぎは、あらゆるタイプの認知症、特に早期発症型認知症の発症のもっとも重要な危険因子であることを発表しました。

この研究は2013年~2018年のフランスの約3,000万人の医療記録を解析したもので、調査期間中に約110万人が認知症であると診断されました。その中でアルコール使用障害(アルコール依存症)がある人は、認知症のリスクが男性で3.36倍、女性で3.34倍も高まることが報告されたのです。

また、全体の5.2%にあたる約6万人が65歳未満に発症する早期発症型認知症と診断されました。早期発症型認知症と診断された患者の半分以上が、アルコールの飲み過ぎと関連していることも判明しました。

このようにアルコールの過剰摂取はアルコール使用障害だけでなく、認知症の危険因子であることが解明されたのです。

日本でもアルコール使用障害が増えつつあるということが問題視されています。また2019年に発表された厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、生活習慣病など健康のリスクを高める量の飲酒をしている人の割合は、男性14.9%、女性9.1%。年齢階級別に見ると、男性は40〜49歳、女性は50〜59歳が最も多いという報告があります。

年齢を重ねるとアルコールを分解する働きが低下していきますし、飲酒は習慣化しやすいので中高年からお酒の飲む量をコントロールすることは大切です。

図39 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合(20歳以上、性・年齢階級別)

出典:2019年「国民健康・栄養調査」(厚生労働省)

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