脳のはなし

ココアに含まれるフラバノールが脳の働きを活性化

肌寒くなると恋しくなるのが温かい飲み物です。仕事の休憩などちょっと一息という時に、ココアを飲むという人もいるのではないでしょうか。

この1杯のココアに含まれるフラバノールが血中酸素濃度を増加させ、脳の働きを高める可能性のあることを、2020年にイギリスのバーミンガム大学の研究チームが学術誌『Scientific Reports』で明らかにしました。

フラバノールはポリフェノールの一種で、血管機能を改善させる働きのあることが知られてきました。

この研究は、フラバノールを含むたった1杯のココアを摂取するだけでも、脳血管の酸素化反応の促進と認知機能が向上するかを調べたものです。

調査は、18~45歳の18人の健康な男性を対象に、1人の被験者に対して高用量のフラバノールを含むココアと、低用量のココアの条件で、それぞれ2週間以上の間隔を開けて計2回実施。

効果の判定のためにココア摂取2時間後に、高濃度炭酸ガスを5%含む空気を吸わせて、血管に負荷を与える高炭酸ガス負荷試験を受けてもらい、脳の血中酸素濃度がどのように変化するのかを調べました。

健康な血管では、炭酸ガスを吸うと過剰な炭酸ガスを抑制するために、酸素量を増やそうと脳内の血流を高める酸素化反応が起こります。この研究は、その酸素化反応を測定するとともに、前頭葉領域の脳画像検査や認知機能テストを行いました。

研究の結果、被験者うちの13人で、フラバノールが高用量入ったココア摂取後に、脳の酸素化反応が大きく上昇。その上昇幅は、フラバノールが低用量入ったココア摂取後の約3倍。
また、認知機能テストでは、難易度が高い問題に限られていたとはいえ、被験者のうち14人で高用量ココアの摂取後の解答速度の速いことがわかりました。

この結果から、研究グループは1杯のココアでも脳の酸素化反応を促進させ、脳の働きをサポートする働きがある可能性が大きいという見解を述べています。

フラバノールは、ココア以外にブドウや、リンゴ、ベリー類などの果物や緑茶にも豊富に含まれています。ココアだけでなく、これらの食品を摂取することで同じ効果が得られるのではないかとも報告されています。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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