脳のはなし

野菜などに含まれる抗酸化物質が認知症を予防

血中に含まれる抗酸化物質のレベルが高い人は、認知症を発症する可能性が低いということを、アメリカの神経学会が2022年に医学誌『Neurology』で発表しました。

抗酸化物質とは、体内の細胞にダメージを与える活性酸素の発生や抑制、活性酸素そのものを取り除く働きをする物質のこと。代表的なものに、ルテインとゼアキサンチン、ベータクリプトキサンチンがあります。ルテインとゼアキサンチンは、ケールやほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜などに含まれ、ベータクリプトキサンチンは、オレンジやパパイヤ、柿などのカラフルな果物に多く含まれています。

この研究は、調査開始時に45歳から90歳の男女7,283人を対象に、血中の抗酸化物質のレベルに合わせて3つのグループに分けて、身体検査、面接、抗酸化物質の血中濃度を測定する血液検査を行い、その後、平均16年間にわたって認知症を発症したかを追跡調査調したものです。

その結果、血液中のルテインとゼアキサンチンの量のレベルが高い人は、低い人に比べ認知症を発症する可能性が低いことがわかりました。ルテインとゼアキサンチンレベルの標準偏差が、約15.4μmol/L増えるごとに、認知症のリスクが7%の減少し、ベータクリプトキサンチンは、標準偏差が約8.6μmol/L増えるごとに認知症のリスクが14%減少したことがわかったのです。

この結果から、緑黄色野菜やカラフルなオレンジ色の果物などの食品を豊富に取り入れた食事は、認知機能の低下や認知症の発症リスクを低下させる可能性があることが示されました。

ただ、この研究はある種の血中の抗酸化物質の測定に基づいており、生涯にわたり測定したものではないため、認知症を予防できるかを調べるためには、引き続き研究を続けていく必要があるということです。

出典)https://www.aan.com/PressRoom/Home/PressRelease/4984

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

※ ご自身の脳についてもっと知りたい方は、川島隆太博士監修の「脳のはなし 6日間無料メール講座」の受講をおすすめします。

  • 脳活動と日常生活の関係性
  • 現在脳科学でわかっている事実
  • 効果的な脳の鍛え方

などを6日間にわたってメールでお伝えします。
ご登録はこちらから