脳のはなし

高血圧の放置が認知機能を低下させる!?

徐々に気温が低くなってくると、それと反比例するように上がってくるのが、血圧です。
「血圧が少し高いですね」と医師から言われたり、検診結果が「要再検査」だったという人にとっては、懸念が深くなる季節です。

厚生労働省が行った「国民健康・栄養調査」(平成26年)によると、40~70歳の高血圧有病率は男性で6割、女性では4割であることが分かりました。しかも、高齢者だけでなく、男性では30代でも5人に1人、40代では3人に1人に、高血圧があるという結果です。中壮年期にも非常に高い割合で発祥している、国民病ともいえる状態なのです。

心疾患や脳梗塞の引き金になるとして恐れられている高血圧ですが、実は、認知症発症のリスクにもなることについては、あまり知られていないようです。
「比較的若い年齢で高血圧の状態を放置していると、認知機能が低下する可能性がある」。昨今の研究では、そんな事実が明らかになりました。

2020年、米国心臓協会は「高血圧がある場合、中年~高齢者の記憶力、集中力などの認知機能は急速に低下する」「中高年時期に短期間の血圧上昇であっても、認知機能低下のスピードは速くなる」とジャーナルで発表しました。

つまり、高血圧は早期発見、早期治療をしないと、認知機能は急速に衰えるということが分かったのです。
米国心臓協会は「どの年齢においても、高血圧を効果的に治療することで、認知機能低下の加速を防止できる」とも発表しています。

検診で血圧に黄色信号が灯ったときには、最速で対応すること。決してほったらかしにしないこと。それが、認知症予防につながります。

参考:https://newsroom.heart.org/news/high-blood-pressure-at-any-age-no-matter-how-long-you-have-it-may-speed-cognitive-decline?preview=ff40

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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