脳のはなし

断酒で認知機能が向上する

アルコール依存症に陥ると、認知機能に重大な障害が生じてしまうことは、広く知られています。東北大学加齢医学研究所が行った研究でも、飲酒量が多いほど、脳萎縮を促進させてしまうことが分かっています。

そうきくと、「最近、飲酒量が増えていたかも…」と不安になる人も多いことでしょう。そんな方に朗報となる研究が、昨今、発表されました。

フランスのサクレ大学が行った研究によると、重度のアルコール依存症患者32人に18日間の断酒をしてもらったところ、63%の患者が記憶喪失や注意力といった認知障害が大幅に改善したことが確認されました。

最も改善レベルが高かったのが視空間認識能力で、18日間で67%の患者に改善効果が観られました。

重度のアルコール依存患者でこの目覚ましい改善が見られたということは、生活に支障がないレベルの飲酒習慣がある人にも、認知機能の改善効果は十分に期待できると考えられます。

「そろそろ禁酒を始めたい…」と漠然と考えていた方は、「頭がよくなる」という報酬をモチベーションに、今日から断酒を始めてみてはいかがでしょうか。

参考:https://academic.oup.com/alcalc/article-abstract/58/1/46/6754349?login=false

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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