脳のはなし

便秘が認知機能を低下させる!?

腸は免疫系や内分泌系、神経系の働きを活発に行う、重要な器官であることが、近年の研究で明らかになってきました。そして、腸は脳とも「腸脳相関」という関係にあり、神経ネットワークを通じて多くの情報のやりとりを行っていることも分かっています。
つまり、腸と脳は、互いに強く影響し合っているということです。

それがよくわかる研究が、「便秘が認知機能に影響している」ということを明らかにした、東北大学加齢医学研究所の研究です。

アルツハイマー病または軽度認知機能障害と診断された患者84人のうち、「便秘あり」の20名と「便秘なし」の64人に対して、それぞれ認知機能の変化を調査・分析したところ、「便秘アリ」の患者の認知機能低下速度が最大で2.74倍速くなることが分かりました。

さらに、脳の深部白質病変(虚血を起こした大脳白質)の拡大速度も、「便秘あり」で1.65倍速くなることも確認されました。

腸は「第二の脳」といわれて久しく、認知機能と腸内環境は相関関係にあることは明らかです。便秘が認知症のリスクを上げるとすれば、常に腸内環境をよくする生活習慣が、認知機能にポジティブな影響を与える可能性も高いということ。

食物繊維や発酵食品がしっかりとれる食事、適度な運動で腸の健康を保つことが、脳の健康にもつながると考えてください。

参考:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cns.13940

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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