脳のはなし

腸内細菌が脳の老化を左右する!?

「腸脳相関」という言葉をご存じでしょうか?

その名の通り「腸と脳は互いに影響を及ぼし合っている」ことを言い表す言葉です。たとえば、ストレスを感じた時は、自律神経を介してお腹が痛くなったり、食欲がなくなったりしますね。また、腸ではセロトニンやドーパミン、ノンアドレナリンなど、感情やメンタルに影響を与える脳内神経伝達物質の多くが作られていることも分かっています。

そして昨今では、「腸内細菌が脳の若さにも影響する」ことを示唆することが、研究で明らかになってきました。

アイルランド・コーク大学が行った研究では、生後3~4か月の若いマウスの腸内細菌叢を採取し、生後19~20カ月の年老いたマウスに移植。その後、学習能力などを計る認知+戸を実施したところ、年老いたマウスのスコアが優位に向上することが確認されました。

また、学習や記憶力との関連が強い脳の海馬にも、活動パターンや代謝に変化が現れることが分かったのです。
つまり、腸内細菌叢を若返らせると脳も若返る可能性があることが、示唆されたということです。

この結果が、直接的に人間にも当てはまると考えるのは、早計かもしれません。しかし、「腸内を健全に保つことが、脳の健康にも有益」と考えるのは「腸内相関」を思えば、ごく自然なこと言えます。
バランスの良い食事をとり、発酵食品をこまめにとる。「健全な脳は、健全な腸から」をスローガンに、新しい生活習慣としてとりいれることをおすすめします。

参考:https://www.nature.com/articles/s43587-021-00093-9

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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