脳のはなし

運転技能の低下はトレーニングで補える?

国立長寿医療研究センターのプロジェクト以外にも、高齢者の自動車運転技能を上げるための試みは行われています。
川島隆太博士が所長を務める東北大学加齢医学研究所では、自宅のテレビで実施できる運転技能向上トレーニング・アプリを開発しました。
これまでにも同大学では、脳トレゲームや音読・計算トレーニング、処理速度ゲームやサーキット運動トレーニングを実施することで、高齢者の認知機能が向上することを明らかにしています。

今回の研究では、平均72.4歳の高齢者60人に対して、トレーニング介入前後に自動車教習所のコースでの自動車運転技能検査や認知機能検査、感情状態などを聞く心理アンケートを行って、その変化を計測しました。

その結果、運転技能向上トレーニング・アプリを実施する「運転技能向上アプリ群」と、その他のゲームを実施する「対照アプリ群」を比べると、以下のように自動車運転技能と認知力(処理速度と抑制能力)とポジティブ気分(活力)が向上していることがわかりました。

自宅のテレビで簡単にできる認知トレーニングは、高齢者でも取り組みやすいため、「今後、高齢者の運転技能の維持・向上のためのツールや、高齢者の交通事故などの減少を目指した取り組みとしての応用が期待される」と、研究グループは述べています。

運転技能向上アプリ群と対照アプリ群の介入による変化量グラフ
※変化量は介入後の得点から介入前の得点を引いて算出しました。変化量は得点が高いほど良いことを示します。エラーバーは標準誤差です。

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