脳のはなし

「内発的動機付け」を育む親のサポートとは

学力を伸ばすには、子ども自身が勉強時に楽しみややりがい、目標を見つけるなど「内発的動機付け」を育むことが大切だということがわかりました。では、どういった子どもは「内発的動機付け」が高く、成績が伸びる傾向にあるのでしょう。

東北大学加齢医学研究所と仙台市教育委員会の2019年度「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」の研究調査では、小学校低学年では「夢や目標を持っている」、高学年以降では、「将来の可能性を広げるために勉強をがんばる」「夢を叶えるために勉強する」群の成績がよいことがわかりました。

反対に、同プロジェクトの「意欲のパターンと学習成績」の調査によると、「やらされていると強く感じている」群の成績が伸びないことがわかっています。これは「放任されている」群と比べても、成績がふるわない結果となりました。やらされ感(外発的動機付け)は、学力を伸ばすにはマイナスだということです。

親は、成績の結果ばかりに目が向き「勉強しなさい」とつい言いがちです。けれどもそれだけでは、子どもはやらされ感ばかりで、将来に対する夢や目標のためにがんばろうという「内発的動機付け」を育むことはできません。

調査結果からわかるように、低学年は、将来、何になりたいかといった夢の話をじっくり聞き、高学年以降は、夢をかなえるために必要な具体的な進路や知識、技能について話し合うことが大切なようです。家庭での十分な対話が子どもの「目標意識」「探究心」を育て、自ずと「内発的動機付け」をはぐくむことになるのではないでしょうか。

また、成績を伸ばすためには、朝食を必ず食べるなどバランスのとれた食事や長すぎず短すぎない適切な睡眠時間など、きちんとした生活習慣など環境を整えることは不可欠です。同プロジェクトの調査から、生活習慣を身に付け、親子や友人関係などの人間関係が良好な子どもがより学力が高いということがわかっているので、学力と合わせて生活環境のサポートをすることも重要です。

子どもの将来の夢や目標が具体化している子どもほど成績が高い傾向にあります。
「内発的意欲」が高く「外発的意欲」の低い群の成績が、高い傾向にあります。

出展)2019年度「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」(東北大学加齢医学研究所・仙台市教育委員会)

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