脳のはなし

子どもだけじゃない!読み聞かせの大人の効用とは

読み聞かせの効果があるのは子どもだけと思われがちですが、実は読み聞かせをしている親の脳や心にもいい影響を与えることが、東北大学加齢医学研究所と山形県長井市の共同研究で報告されています。

読み聞かせする親子

約40組の子どもとその親を対象に、誰がどのくらい、何冊読み聞かせしたかを8週間にわたって調べると、読み聞かせをする前とした後では、母親のストレスが低下し、中でも子どもの行動に対するストレスが少なくなっていることが明らかになりました。

母親のストレスの低下図

これは、子どもがいうことを聞かないために、母親が嫌な気持ちになるといったストレスのことです。特に「機嫌の悪さ」「気が散りやすい/多動」「刺激に敏感/ものに慣れにくい」といった子どもの行動が原因で生じた母親のストレスが減っていることがわかります。

親から見た子どもの変化図
子どもの気になる行動に起因するストレスが低下していることがわかります。

つまり母親が読み聞かせをすることで、子どもの気持ちや行動が落ち着き、新しい場面でもじっくり取り組むことができるようになったという変化を、母親自身が感じているということです。

そしてさらに「読み聞かせがストレスを軽減した」ことを実証するために、母親のストレスの変化と読み聞かせした長さ(量)の関係について分析をすすめると、読み聞かせの時間が長いほど、母親のストレスが減少傾向にあるという報告がされました。

共同研究から、読み聞かせは、母親のストレスを軽減することから、母親と子どもの関係によい変化を生じさせるのではないかということがわかりました。

母親ストレスの変化と読み聞かせの長さとの関係図
横軸は読み聞かせの時間、縦軸は母親のストレスの変化の量をあらわしています。読み聞かせの時間が長いほど、母親のストレスが少ないという右肩下りの分布になりました。
出典)『「本の読み方」で学力が決まる』(青春出版社)

忙しくても、あえて読み聞かせの時間をつくることが、かえって子育てがラクになるということなのかもしれません。

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