【加齢と運転】加齢による運転能力の衰え

【加齢と運転】加齢による運転能力の衰え

【加齢と運転】加齢による運転能力の衰え

 運転中にちょっとした操作ミスや見落としをして、思わずヒヤリとした経験をしたことがあるという人は、少なくないでしょう。そんなときには、「以前はこんなことなかったのに…歳のせいかなあ」と不安になったりするものです。

 運転に必要な認知・判断力や注意力、予測力といった認知機能は、加齢するにしたがって、徐々に衰えていくものです。それは、だれもが避けようがありません。

 高齢ドライバーの交通事故の報道を見たときには、「自分もいつまで運転できるだろうか」と不安がよぎります。

 しかし、運転すること自体が、この認知機能を保つことにつながるのも、また事実なのです。

 

 国立長寿医療研究センターが行った、運転と認知症発症との関連を調べた調査によると、「運転をしていた高齢者は、運転をしていなかった高齢者よりも認知症のリスクが約4割減少する」ということが分かりました。

 さらに、同調査では、運転を中止した高齢者の要介護状態になるリスクは約8倍に上昇することも判明しています。

 つまり、高度な認知機能を働かせる運転は、とても効果的な脳トレになるということ。そして、運転を続けることで行動範囲が広がり、人との交流も活発になって心身ともにハリが出るということです。

 運転を安全に、長く続けるためには、認知機能を活発に使う機会を増やすことが大切です。本を読んだり、文字を書いたりといった知的活動や、運動をすることが、その一助となります。そして、車で知らない場所へ出かけ、楽しい時間を過ごすことも、非常に有効な脳トレとなるでしょう。

 運転を長く楽しめるように、認知機能向上につながる生活を心がけていきましょう。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

参考

運転中止による弊害 ~運転を中止すると、要介護状態や認知症発症のリスクを高める~


目次に戻る