【加齢と運転】交通事故の最新情報

【加齢と運転】交通事故の最新情報

【加齢と運転】交通事故の最新情報

 警察庁の発表によれば、令和3年の交通事故死者数は2636人と、交通事故統計が始まってから最小の人数となりました。死者数だけでなく、交通事故の発生件数も、ピーク時だった平成16年の95万2,720件から、令和3年は30万5,196件と、3分の1以下に。

 交通事故発生件数と負傷者数は、17年連続で減少しました。

 交通違反の厳罰化や車の安全性能が向上したことが、こうした事故の減少に結び付いていると考えられます。

 交通事故死者数(人口10万人当たり)の推移も減少傾向ではあるものの、歩行中の死者数については高齢者の多さが目立ちました。特に80歳以上では全年齢層の約5倍にもなることが分かりました。

 

 令和4年「交通安全白書」によると、高齢者は横断歩道以外での横断や、走行車両の直前直後横断などの「横断違反」の割合が約3割占めており、他の世代よりも多い傾向があるそうです。さらに、夜間の歩行中に事故にあう割合が高いことも分かりました。

 ドライバーは、交差点での一時停止はもちろん、見通しの悪い道では十分な徐行をするなどで、歩行者の急な横断などを想定した運転を習慣にしましょう。特に夜間の走行には、十分な注意が必要です。

 一方、運転免許保有者のうち、高齢者が占める割合が年々増加するなか、心配されているのが高齢ドライバーによる交通事故です。

 内閣府の発表では、高齢ドライバーが起こした交通事故発生件数は、平成23年の4,870件から、令和元年まで多少の増減を見せながらの横ばいだったのが、令和2年には3,589件、令和3年は3,500件と、急激な減少傾向を見せました。

 これは、令和元年4月、東京・池袋で高齢ドライバーが引き起こした交通事故が大きく影響したのでしょう。母子が死亡するという痛ましい事故が大きく報道されたことで、多くのドライバーが改めて注意喚起されたり、免許返納を決心したりしたことが、この数字からは伺えます。

 運転免許保有者のうち、75歳以及び80歳以上が占める割合は、令和元年では14.5%。今後も、その割合は増加することが予想されています。

 それを受けて、警察庁も道路交通法を改正し、免許更新時の認知機能検査の実施などをスタートしました。ドライバー自身も、安全運転のための運転技術のセルフチェックや運転前の健康管理を習慣にしていきましょう。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

参考

令和4年版交通安全白書 全文(PDF版)


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