【認知症】運動不足

【認知症】運動不足

【認知症】運動不足

 運動不足は、肥満はもちろん、高血圧や糖尿病といった生活習慣病のリスクを高めることは、多くの方がすでに知っていることと思います。

 それだけでなく、運動不足は認知症発症のリスクを1.4倍高めることが、昨今の研究で明らかになりました。2020年の科学雑誌『Lancet(ランセット)』で発表された「認知症発症に関わる12のリスク要因」の中には、「運動不足」も含まれています。

 運動不足で肥満したり、筋力が衰えることで、外へ出かけることがおっくうになり、社会的活動の機会が減少すれば、脳が活性化する機会も少なくなります。

 また、高齢者の場合は体を支える力が衰えることで転倒しやすくなり、そのまま寝たきりになり、認知症へ…というケースもめずらしくありません。

 脳科学においても、運動をすることで、脳の神経細胞を成長させる「BDNF(脳由来神経栄養因子)」が増加することが分かっています。運動不足になれば、脳の神経細胞の活動も衰えてしまいます。

 つまり、間接的、直接的に脳へ影響を及ぼすのが、運動なのです。

 車の運転をするうえでも、ある程度の体力は必要です。日常から良く体を動かすことで、緊急時に適切な動作をすることができる認知機能、運動機能を維持することにもつながるでしょう。

 駅や公共施設ではエスカレーターやエレベーターではなく、階段を使う。バスや電車のなかではできる限り立つ。できるだけ自転車や徒歩で移動するなどで、日常生活のなかで体を動かす機会をこまめに積み上げることを意識していきましょう。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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