脳のはなし

足し算は右手、引き算は左手と関連している!?

「トランプを小さい数字から大きい順に並べてください」
もしみなさんがそう指示されたら、トランプをどう並べるでしょうか? おそらく左から右へ向かって、小さい数字から大きい数字へと並べる人がほとんどだと思います。

これは、人が脳内で無意識のうちに数字を数直線上に左に小さい数、右に大きい数を並べて考えていることを示しており、「メンタルナンバーライン」と呼ばれています。

昨今、東北大学の研究チームは、サルの脳にも同様の足し算、引き算に関連する細胞を発見。そして、サルが足し算、引き算をしているときの脳の神経活動を調べたところ、足し算細胞は右手の動作、引き算細胞は左手の動作と強く関連していることを、世界ではじめて発見しました。

そのことから、脳には計算を実行するための特殊な細胞が存在するのではなく、もともと手の運動を制御する細胞を再利用することで、計算の実行を可能にしている可能性があることがわかったのです。

「左右の手の動きと計算するときの細胞が同じ」というのは、幼児期に指を折って数字を数えること、大多数の人が右利きであると同時に足し算のほうが得意であることからも、腑に落ちますね。

この研究をもとに「今後は脳機能から数学の学習法など、学習法など教育分野への応用が期待できる」と研究者は述べています。
 近い将来、「左右の手をコントロールする運動で計算力を伸ばす」といった新しい学習法が誕生するのかもしれません。

参考)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20240329_01web_.pdf(PDF)

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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