脳のはなし

鍵盤ハーモニカの楽器訓練が高齢者の認知機能を向上

京都大学大学院総合生存学館、積山薫教授らの研究グループが、楽器の訓練に取り組むことで高齢者の認知機能が向上することを2020年12月に国際学術誌「Human Brain Mapping」で発表しました。

この研究は、平均年齢73歳の高齢者66人を、鍵盤ハーモニカのレッスンを受けるグループと、もう一方は待機するというグループに分けて4カ月後にどのような変化が現れるかを調べたものです。

その結果、鍵盤ハーモニカのレッスンを受けたグループの言語記憶の成績が向上することがわかりました。また、簡単なワーキングメモリー課題に取り組んでいる時の脳活動をfMRI(磁気共鳴機能画像法)で調べると、いくつかの脳の部位で神経処理効率化が見られたといいます。

神経処理効率化には、より少ない脳活動で介入前と同じ成績を上げることができるようになる側面があります。この神経処理効率化が脳の部位で生じて、言語記憶向上につながったのではないかということです。

この研究は鍵盤ハーモニカのグループレッスンによることから、認知訓練のほかに人との社会的交流の影響が無視できない一面もありますが、高齢社会における集団での音楽活動の有効性が明らかになった例として注目されています。

脳

脳の中央部にある左被殻から右上側頭回の部位間の活動同期性が減少した人ほど、言語記憶の成績が向上していました。
出典)京都大学大学院総合生存学館

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