脳のはなし

「レム睡眠」で夢を見ながら脳をリフレッシュ

健全な脳の働きのためには、十分な睡眠が必要であることは、だれもが知っていることでしょう。そして実際に眠っているとき、脳はその血流を2倍にして、脳内をリフレッシュさせていることを、筑波大学と京都大学の研究チームが明らかにしました。

アメリカの科学雑誌『Cell Reports』に掲載された同研究によると、睡眠中のマウスの脳の状態を調べたところ、眠っているときに夢を見る「レム睡眠」中には、大脳皮質内の毛細血管に大量の赤血球が流入し、酸素や栄養を届けると同時に不要な老廃物を回収するといった活動が活発に行われていることがわかりました。

浅い眠りである「レム睡眠」と、深い眠りである「ノンレム睡眠」中と比べると、レム睡眠中の赤血球数は2倍も増えることも判明しています。

これまでに、レム睡眠が少ないとアルツハイマー型認知症や死亡リスクが高まることが分かっていましたが、この大脳皮質の活発なリフレッシュ効果が損なわれることで、結果的に脳機能の低下や老化が進むのでは、と同研究チームは指摘しています。

頭の働きの低下を感じた時には、脳をリフレッシュさせるこの機会が失われている可能性があります。生活の中で睡眠の見直しをする――それが、脳をリフレッシュさせる早道となるかもしれません。

参考:https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p202108251400.pdf

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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