2021.10.29
「成績良好を認識」するだけで学習意欲は向上する
スポーツや学習、仕事においては、やる気のあるなしでそのパフォーマンスには大きな違いが出ることは、誰もが実感したことがあることでしょう。
結果がよければまた次のやる気が出てきてさらに成長できる…。これまでそうした考えが一般的でしたが、実は、ただ「成績がよい」と伝えられるだけでも、学習意欲が向上することが科学的に明らかになりました。
つまり、事実はどうあれ、意欲を引き出す情報を得るだけで人は意欲を向上させる、ということが分かったのです。
大阪市立大学の研究チームは、成人男性20人に注意機能と作業記憶に関わる認知テストを実施。一方には実際の成績とは無関係に最高レベルの成績を提示し、もう一方には課題成績とは関係のない画像を提示したところ、「成績が良い」と認識した群は成績が保たれ、関係ない画像が提示された群は、成績が低下することが分かりました。
この結果から、達成感や有能感を引き出す情報を与えられることで、情報処理の際に使用する脳の部位の働きが活発になり、結果、成績が向上した可能性があると、研究では示されています。
つまり、子どもに対しては、成績のよかった分野について、大げさなくらいほめることが、学習意欲を引き出すことにつながる可能性がある、ということです。
またビジネスは成果がすべてであるとはいえ、マネジメントをする場合には、スタッフのできない部分にフォーカスするよりも、できた部分を少々誇張して伝えるほうが、パフォーマンスを引き出すことにつながることが期待できそうです。
参考:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0255272
川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者
※ ご自身の脳についてもっと知りたい方は、川島隆太博士監修の「脳のはなし 6日間無料メール講座」の受講をおすすめします。
- 脳活動と日常生活の関係性
- 現在脳科学でわかっている事実
- 効果的な脳の鍛え方
などを6日間にわたってメールでお伝えします。
ご登録はこちらから