脳のはなし

唾液から認知機能低下のリスクを予測

日本メナード化粧品株式会社の研究チームは、唾液中の炎症性タンパク質、フラクタルカインの量を調べることで、自身の認知機能の低下リスクを予測できることを発見し、沖縄県で開催された「NEURO 2022」で発表しました。

フラクタルカインとは、脳の神経細胞や血管内皮で作られる炎症性のタンパク質の一種。2019年に研究チームは、フラクタルカインが脳の神経細胞の新生を妨げることをすでに発見しており、その後も研究を続けてきました。

これまでフラクタルカインを調べるには採血を行っていました。しかし、研究チームは採血することはストレスが多いことから、今回の研究では唾液から測定できなかと考え検証。唾液中と血漿中のフラクタルカインの量に相関関係があることを解明し、唾液で測定する技術を開発することに成功したのです。

今回の研究では、男女69人(平均40.3歳。男性45人、女性24人)を対象に唾液中のフラクタルカインの量と認知機能をテストで測定したもの。
研究の結果、加齢に伴って唾液中フラクタルカイン量は増加し、認知機能は低下することがわかりました。

グラフ)唾液中のフラクタルカイン量と認知機能の関係

出典)日本メナード化粧品株式会社

さらに、被験者の唾液中フラクタルカイン量と認知機能テストのスコアとの関係性を調べると、同じ年代の人と比べて唾液中フラクタルカイン量が多い人ほど、テストのスコアが悪いことも明らかになりました。

これらの結果から唾液中フラクタルカイン量を測定することが、認知機能の低下リスクの指標になる可能性があるということがわかりました。
自分自身の認知機能の低下リスクを知ることができれば、生活習慣や食事の見直しなど、将来、認知機能の低下を防ぐための行動を促すきっかけにできると期待されています。

参考)https://www.atpress.ne.jp/releases/316880/att_316880_1.pdf(PDF)

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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