脳のはなし

侮辱ワードは「平手打ち」と同じダメージを脳に与える!?

「言葉の暴力」とはよく耳にする言葉です。とはいえ、相手を傷つけるような言葉を言ったり言われたりすることは、めずらしくありません。特に家族や親しい友人など近しい関係性になると、ついつい相手を傷つけるような言葉を口にしてしまうことはあります。しかし、「相手の顔をバチンと平手打ち」となると、「とんでもない!そんなことしたことない」という人がほとんどでしょう。

しかし、昨今の研究では、相手に侮辱する言葉をぶつけたときと、相手の顔を平手打ちしたときのダメージは、脳内では同じダメージとして処理されることが分かりました。

オランダのユトレヒト大学の研究チームが行った実験では、79名の被験者の頭部に脳波計を装着してもらい、侮辱と賛辞、それぞれの意味を含む文章を声に出して読んでもらいました。結果、被験者達の脳は侮辱の言葉に対してより素早く、敏感に反応することが分かりました。研究者は「侮蔑が何度も繰り返されることは、実際に頬に平手打ちをくらったときと同じようなダメージを脳に与えるうえ、それが長期間留まることが分かった」と語っています。

「ちょっとからかってやろう」「冗談だから」と、軽い気持ちで口にした言葉が、もしかしたら相手をビンタしたときと同じぐらい傷つけているかもしれません。ネガティブな言葉は人にぶつけない――そう心しておくことが、人間関係にトラブルを生まないコツと言えそうです。

参考)https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcomm.2022.910023/full

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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