脳のはなし

読書こそ、「創造性」を鍛える最強の脳トレ

徐々に涼しさを増し、夜も長くなってくると、「読書の秋」といったフレーズが目につくようになります。買ったまま開いていなかった本があることを思い出して寝しなに開いたり、書店へいってみようかと足を向ける人も増えてくる頃でしょう。

ところが、近年は読書をする人が減少傾向にあるとのこと。20代から60代を対象に「一カ月に読んだ本の冊数」を調査したところ、最も多かったのが「0冊」の45・9%と、実に半数近くにも及びました。次いで「1冊」が28・8%、「2~3冊」が15・7%という結果でした。

テレビに加えて、サブスクの動画配信やSNSなどが拡充し、多種多様なコンテンツが増えたことが大きく影響しているとは思いますが、脳にとってこれは実にもったいないこと。なぜなら、読書はすればするほど、脳を鍛えることになるからです。

私たちは、本を開いて文字を目にした時、目にしたものがなんであるかを調べるための「後頭葉」が一番に働きはじめます。次に目を動かすことを司る「前頭眼野」が働き、言葉を理解するための「ウエルニッケ野」が働いて、文章の意味をつかみます。さらに、前頭前野も活発に働かせながら、文章を記憶したり思考したりと、目まぐるしく脳を活性化させるのです。

さらに面白いのは、新しいものを生み出す創造性を発揮するときに活性化する脳の部位を調べてみると、語彙を格納する部位と言葉を扱う部位であることが分かったのです。つまり、私たちがクリエイティブな力をつけたいと思ったとき、最も効果的なトレーニングは「読書」となります。創造性の源泉は、言葉ということです。

このように、本を読むだけで脳は様々な機能を働かせ始め、広範囲に活性化させる、創造性を養います。これをまったく行わないのは、実にもったいないこと。ぜひ、小説やフィクションを楽しみながらの脳トレを、実践してほしいと思います。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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