脳のはなし

30代の高血糖などの放置は認知症の原因に

30代の若い世代は、健康診断でコレステロールや血糖値が高めと言われても、まだ若いから大丈夫とか、仕事が忙しいからなどと言って、治療の機会や生活習慣の改善を先延ばしにしてしまいがちです。

けれども、30代から血糖値や中性脂肪値などの高いままの状態で、年齢を重ねると、将来、アルツハイマー型認知症の発症リスクが高まることが2022年に医学誌『Alzheimer & Dementia』で発表されました。

この研究は、アメリカのボストン大学医学部の研究グループが4,932人を対象に35〜50歳、51〜60歳、61〜70歳の3つのグループに分けて、血清脂質値と血糖値、血圧などと、アルツハイマー型認知症の発症の関連を追跡調査したもの。

その結果、研究開始時期に35〜50歳のグループは平均35.2年の期間で5.5%、51〜60歳のグループは平均25.8年の期間で8.8%、61~70歳のグループは平均18.5年の期間で12.2%がアルツハイマー型認知症を発症していることがわかりました。

血糖値については、35~50歳の時点で15mg/dL高くなるごとにアルツハイマー型認知症のリスクが15%上昇。同様に35〜50歳の時点の中性脂肪値が高いとリスクが33%上昇することがわかりました。

また35~50歳の時点の善玉HDLコレステロール値については、15mg/dL高いごとにアルツハイマー型認知症のリスクが15%低くなることが報告されています。

これらの結果から、35~50歳の時点で血糖値や中性脂肪などの検査値異常があると、将来アルツハイマー型認知症する可能性が高いということです。
研究グループは、30代の若い時期に検査値の異常がわかったら、リスクをできるだけ減らすための生活習慣の改善と、早期治療を心がけることが大切だと述べています。

出典)https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/alz.12641

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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