脳のはなし

枕の高さと脳卒中リスクはリンクする!?

俗に、不安や懸念なく安心して眠れることを「枕を高くして眠れる」と言いますが、実は、枕は高いほど健康リスクが高くなるかもしれない…そんな事実が、昨今、科学的に明らかになりました。 

それはどんなリスクなのかというと、「枕が高いと脳卒中になる可能性が高くなる」というもの。発表したのは、国立循環病研究センターの研究チームです。

通常、脳卒中は高齢者に多く起こりますが、首の後ろにある椎骨動脈という血管が裂けることで発生する「特発性椎骨動脈解離」は、若年や中年者にも発生する脳卒中の引き金となる疾患として知られています。これまで、特発性椎骨動脈解離の発生原因の多くが原因不明であり、治療法もない現状が続いていました。

同研究チームは、この特発性椎骨動脈解離の患者に極端に高い枕を使用しているケースがあることに着目。枕の高さ12㎝以上を「高値」、15㎝以上を「極端な高値」と定義して、当該患者の首の屈曲の有無や枕の固さなどを調査しました。

結果、枕が高ければ高いほど特発性椎骨動脈解離の発症割合が高いことが確認されたのです。高い枕が首の屈曲を媒介する効果は、全体の3割程度になることも分かりました。

研究チームは高い枕で脳卒中を起こすことを「殿様枕症候群(Shogun pillow syndrome)」と名づけて暫定的な疾患概念とし、今後、「高すぎる枕は脳卒中のリスクを高める」ことを世に広く訴求していくとのことです。

首は、血管のほかにも多くの重要な神経が通っている、脳と身体の重要なパイプです。睡眠中の数時間という長い時間、無理に曲げた状態にすれば、当然ながら健全な状態を保てなくなってしまいます。高すぎる枕は早めに手放して、脳の血管にやさしい適切な高さの枕にすることで、脳卒中を予防していきましょう。

参考) https://www.ncvc.go.jp/pr/release/pr_41662/

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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