脳のはなし

魚を食べる人ほど認知症になりにくい

東北大学の研究チームが、大崎コホート研究に参加した65歳以上の約13,000人を対象に約5.7年間にわたり追跡調査した結果、魚をよく食べる人ほど認知症のリスクが低いことが明らかになりました(2019年3月)

日本食を食べる人ほど認知症の発症リスクが少ないことは東北大学の研究で発表されています。これまで日本食が魚中心の献立であることから、魚を食べると認知症のリスクを下げるのではないかと考えられてきました。しかし、魚の摂取と認知症発生の関連についての研究はほとんどないことから、追跡調査することになったのだそう。

調査は、刺身や焼き魚、煮魚など新鮮な魚介類とかまぼこやちくわなど魚の加工品などの魚摂取頻度について調べたもので、食べる頻度は「ほとんど食べない」「月に1~2回」「週に1~2回」「週に3~4回」「ほぼ毎日」の5段階。
さらに、新鮮な魚と魚の加工品を合わせて、食べる頻度と1日当たりの魚の摂取量を推定し、「最も少ない」「やや少ない」「やや多い」「最も多い」の4群に分けると、各群の1日当たりの魚の摂取量の平均はそれぞれ20.4g、44.3g、57.7g、96.9gでした。

魚摂取量と認知症発生リスク

出典:Fish consumption and risk of incident dementia in elderly Japanese: the Ohsaki cohort 2006 study.Br J Nutr, 2019; 122:1182-91.

調査期間中に1,118人が認知症を発症しましたが、魚の摂取量が「最も多い」人ほど認知症リスクが低いことがわかりました。魚の摂取量が「最も少ない」人と比べ、認知症のリスクが0.90倍、0.85倍、0.84倍と摂取量が多くなるにつれ低下していくこともわかったのです。

この傾向は、調査を開始した2年以内の時点で認知症を発症した人や認知機能が低下した人を除いても変わらなかったといいます。

近年、日本人は肉食が増えて魚食は減少傾向にありますが、積極的に魚や魚の加工品を摂ることが認知症予防には効果的なようです。

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