脳のはなし

アルツハイマー型認知症は遺伝するの?

「親がアルツハイマー型認知症の場合、子どもに遺伝する可能性はあるの? 」という声を聞くことがあります。親もしくは親族にアルツハイマー型認知症の人がいると、その可能性が高くなるのではないかと不安に思われるかもしれません。

確かにアルツハイマー型認知症の発症リスクを高める遺伝子はあります。

アルツハイマー型認知症発症に関連する遺伝子は、アポリポプロテイン(ApoE)というタンパク質で、日本人の10~15%が保有していると言われています。

この遺伝子は主にε(イプシロン)2、ε3、ε4の3種類があり、例えば「ε3 ε4」のように2つ1組で遺伝子を構成しています。アルツハイマー型認知症の関連遺伝子は、3種類の中の「ε4」。両親から「ε4」の型を1つ、もしくは2つ受け継いだ人は、「ε4」の遺伝子を持っていない人に比べ、アルツハイマー型認知症の発症リスクが約3~12倍高くなると言われています。

ただ「ε4」遺伝子を持っているからといって、必ずしもアルツハイマー型認知症を発症するわけではないそうです。

発症リスクは遺伝子だけでなく、生活習慣が大きく関係していると考えられているからです。仮に「ε4」遺伝子を持っていたとしても、食習慣、運動、睡眠といった生活習慣を見直すことで、発症リスクを下げる可能性があるということです。

心配な場合は、認知症の遺伝子検査を行うこともできますが、検査はアルツハイマー型認知症を発症するかどうかを判定するものではありません。遺伝については、現地点でわかっていないことも多いため、今後の研究で明らかになっていきます。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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