脳のはなし

中高年の肥満は、認知症リスクが3割アップする?!

認知症のリスクを高める要因のひとつに肥満があります。肥満によって十数年後の認知症発症リスクが約3割も上昇することを、2019年にイギリスのユニバシティー カレッジ ロンドンの研究グループが明らかにしました。

この研究は、50歳以上の男女約6600人のデータを解析し、約11年間にわたり追跡調査したものです。その結果、肥満度を表す指数BMI※が30以上の肥満の人は、BMIが18.5~24.9の正常の人に比べ、認知症を発症するリスクが31%も高いことがわかりました。特に女性は、認知症のリスクが39%となり、さらにリスクが高くなると報告されています。

このため、認知症のリスクを下げるには、生活習慣を見直し、運動や食事制限などでBMI値を下げることが重要です。

ただ2019年「国民生活・栄養調査」(厚生労働省)の「BMIの状況別 食習慣の改善の意思」によると、男女ともに BMI が肥満の人は、 食習慣の改善について「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した人の割合が最も高く、食習慣の見直しの関心が低いという報告があります。

図2 BMIの状況別、食習慣改善の意思(20歳以上、男女別)

出典)2019年「国民生活・栄養調査」(厚生労働省)

中高年ともなると今更、生活習慣を見直すのは面倒なこともわかりますが、認知症発症リスクを下げるためにも真剣に、食習慣や運動習慣といったことに関心を持ち、積極的に改善する姿勢が大切です。

※体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で計算。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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