脳のはなし

脳の神経細胞「ニューロン」が増える方法は?

「完成した脳の脳細胞は増えることがない」という説を聞いたことがある人は多いことでしょう。確かに、脳以外の体の細胞はケガなどで損なってもしばらくするとその部分を修復するように新たな細胞が作られますが、脳の細胞は死んだらそのままで、新たな細胞がつくられることはありません。そのため、先のような定説が生まれたのでしょう。

ところが、脳の一部位である「海馬」では、成人してからも新たな細胞が作られることが、最近の研究で分かっています。これは「新生ニューロン」といい、学習や記憶などと関わる重要な細胞です。加齢するにしたがって人の記憶力や学習効率が低下するのは、この新生ニューロンがつくられる力が低下することから起こるといわれています。

東京大学大学院新領域創成科学研究科の研究グループの研究によると、ヒト高齢者のモデルとして老齢のカニクイザルの新生ニューロンの様子を調べたところ、若齢サルと同程度の割合で細胞が増殖、分化していることが分かりました。

同研究グループは「新生ニューロンを育てていく方法を模索することで、認知症予防や発症リスク低下の研究につながっていくことが期待できる」と語っています。

人においても、新生ニューロンは運動や学習を続けることで成長や生存を高められることが分かっています。脳の若々しさを保つ努力は、いくつになっても無駄になることはありません。新しい脳の生まれ変わりを後押しするためにも、毎日の学びを積み重ねていきましょう。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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