脳のはなし

「長期的な視野で考える力」は脳のどこからきているのか

目の前の利益よりも、少し我慢をして将来に得られるより大きな利益をとる。ビジネスにおいては、そうした「中長期の利益を考える力」が非常に重要であることは、皆さんもよくご存じのことと思います。

とはいえなかなかそれは難しいもので、多くの場合で「今を何とか切り抜ければあとは何とかなるだろう」と短絡的に考えてしまいがちです。明日は重要な会議があるのが分かっているのにゲームがやめられなくて夜更かしをしてしまったり、お酒を飲み過ぎて翌日二日酔いで調子を崩したりするのも、衝動的な欲を満たした結果の大損といえるでしょう。

衝動的に欲を満たそうとせず、後々のことを考えて理性的な判断を下す。そうした高次な人間らしい働きを行っているのは、額のちょうど裏側にある脳の「前頭前野」という部分です。

奈良先端科学技術大学院大学などの研究グループの報告によると、前頭前野がうまく働かなくなると、衝動的かつ計画性のない行動をとるようになることが分かっています。
つまり、長期的な視野で考える力をよりよく働かせるためには、前頭前野が活発であることが必要ということです。

前頭前野は、音読やかんたんな計算を全力で速く行うほか、本を読んだり、人と会話をしたり、よく歩くことで活性化することがわかっています。「目先の欲よりも将来のより大きな利益」を得るために、前頭前野をしっかり働かせる習慣をおすすめします。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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