脳のはなし

67歳で脳年齢は25歳の”スーパーエイジャー”の秘密が解明

人生100年時代になり、「いかにしていつまでも若々しい脳を保つか?」が人類の大きな課題となりました。そうはいっても、「脳は20代がピーク」といわれていますから、年々もの忘れが増えたり、物覚えが悪くなってきて、不安を覚える人もいるでしょう。

その一方で、高齢者でありながら記憶力も思考の回転スピードもまったく衰えない人たちも存在しています。脳の研究者の間ではそうした高齢者を「スーパーエイジャー」と呼んでいます。

スーパーエイジャーの脳は、一般的な人たちと一体何が違うのか? それを明らかにしたのが、マサチューセッツ総合病院の研究グループです。

彼らの研究によると、スーパーエイジャーたちの脳波、神経細胞ネットワークの一部が20代の脳に似ていること、そして、一般的には脳は加齢で萎縮するはずが、萎縮しない状態を保っていることが分かりました。

また、スーパーエイジャーが何かを記憶し、それを思い出そうとしているときの脳をfMRI(磁気共鳴機能画像法:血流を測定して脳の活動を評価する方法)で観察したところ、20代の脳に匹敵する活動を示していることも確認されました。

研究者は「スーパーエイジャーの脳を知ることが、一般人が脳機能を維持するヒントになる」と語り、そして「スーパーエイジャーに見られた脳の処理システムは訓練可能」とも表明しています。

また、スーパーエイジャーの脳と生活習慣を研究するノースイースタン大学の研究チームは「スーパーエイジャーは日常的に難易度の高い活動を行うことで、脳を成長させている」と述べています。実際に、彼らの研究では、語学学習やキリマンジャロの登頂を目指すスーパーエイジャーがいました。

いくつになっても、ちょっと難しいチャレンジをすることで、脳はどんどん成長させることができる。それが、60代、70代になっても、20代並の脳を維持することにつながるようです。

参考:https://www.massgeneral.org/news/press-release/Study-reveals-source-of-remarkable-memory-of-superagers

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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