脳のはなし

マルチタスクなデジタル生活で“ポップコーン脳”になる!?

メールチェックをしながらTwitterを眺めたり、Facebookで友だちの投稿に「いいね」をしながらYouTubeの動画を観たり…さまざまな作業を同時進行で行いながらのデジタルライフがすっかり定着している方は、多いことでしょう。

しかし、こうしたマルチタスクの習慣が、脳にネガティブな影響を及ぼしてしまうことが、最近の研究で明らかになりました。

中国の研究グループが行った研究によると、1日10時間インターネットを使用したグループと、1日2時間インターネットを使用したグループの脳をMRIで観察比較したところ、1日10時間使用したグループの脳の灰白質が少ないことが確認されました。灰白質は、知能や知覚、運動能力などと深く関連している領域です。

研究者は「長期的なインターネット中毒が脳の構造を変化させることを示唆しており、慢性的な脳の機能障害の一因となっている」と語っています。

ワシントン大学インフォメーションスクールのデビット・リービー教授は、インターネットの長時間使用に影響を受けた脳を「ポップコーン脳」と表現しました。現実世界で優先順位の高いタスクよりも、緊急性のないメールやSNSをチェックすることを優先してしまい、実際の生活に支障をきたしてしまう脳の状態を指しています。

先にやるべき仕事を後回しにしてまでTwitterやFacebook、InstagramなどのSNSをついついチェックしてしまう…という人は、ポップコーン脳になりかけているかもしれません。スマホはデスクの上に置かずにカバンにしまったり、夜寝るときは寝室に置かないなどの工夫で、脳の集中と安息を守るようにしてください。

参考:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0020708

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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