脳のはなし

痩せ型・運動不足の女性でも糖尿病に要注意!

糖尿病が認知症リスクを高めるのは、アミロイドβが脳に蓄積しやすくなり、インスリンの分解酵素が働きにくくなると考えられています。

2型糖尿病のリスクを高い人といえば、暴飲暴食や運動不足、そして内臓脂肪が多い肥満傾向の中高年の病気というイメージがあります。
けれども、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学・スポーツトロジーセンターの田村好史専任准教授らの研究グループによって、痩せ型の若い女性でも2型糖尿病のリスクが高くなることが、2022年にアメリカの学会誌『Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism』で発表されました。

この研究は、18~29歳の痩せ型のBMI16.0〜18.49kg/m2の若年女性98人と、標準体重のBMI18.5~23.0kg/m2の女性56人を対象に耐糖能異常※の割合を調査し、合わせて体組成測定、体力測定、食事内容や身体活動量に関するアンケートを実施ししたもの。

その結果、耐糖能異常は、標準体重が1.8%の割合に対し、痩せ型は13.3%と約7倍高く、その率はアメリカの肥満者の10.6%よりも高い結果でした。

また、痩せ型の若年女性の特徴として、エネルギーの摂取量が少ない少食で、筋肉量が少ないこともわかりました。
さらに痩せ型の若年女性の耐糖能異常の特徴を分析すると、肥満の人と同等にインスリン分泌が低下しているだけでなく、これまで肥満者の特徴とされてきた、インスリンの作用が鈍くなるインスリン抵抗性も中年肥満者と同程度であることが明らかになったのです。

日本人の痩せた女性(BMI18.5kg/m2未満)の比率は、先進国の中でも最も高く、痩せ願望を反映して、その比率が20%と高くなっています。

しかし、痩せていても2型糖尿病リスクが高くなれば、将来、認知症リスクを高めることになりますから、無理なダイエットはやめて、適正体重になるように食事管理と適度な運動を心がけることが大切です。

※2型糖尿病と診断されるほどではないものの、血糖値が正常値より高い状態(正常と糖尿病の間)。糖尿病予備軍と呼ばれることも。

出典)順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学・スポーツトロジーセンター

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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