脳のはなし

表情に敏感に反応する“おもてなし脳”の謎が解明!

自分や他者の感情を正確に知覚したり、自分の感情をコントロールする「心の知能指数(EQ)」については、年々、その重要性が高まっています。ビジネスの世界でも、様々なテクノロジーの発展に伴い、事務処理能力よりも、より人間らしい能力を高く発揮することが求められるようになってきました。

そんな中、対人コミュニケーション能力が一般よりも高いと思われる温泉女将の「おもてなし脳」を脳科学的に解明しようという、面白い試みが行われました。

生理学研究所の研究チームは、おもてなしに長けた接客業の人は、他者の表情を読み取る能力が高いのではないか?という仮説をたて、温泉宿の女将さん21名と、接客業が未経験の19名に対して、心理学実験と脳波測定を行いました。結果、女将さんたちは接客未経験の人たちよりも、他者の表情に対してより鋭敏に、正確に判断していることが判明。特に、無表情顔、怒り顔に対してより速く反応することも分かりました。

研究者は「より素早く反応することで、客の不快感に即座に対応することができていると考えられる」と語っています。

経験やトレーニングで表情を読み取る情報処理を速くしたり、認知能力が高まったりすることは、すでに知られています。接客以外でも、家族や友人、職場の人間関係の中で、常に注意深く相手の表情を読み取ろうと努めることで、徐々に「おもてなし脳」を養っていくことができると考えていいでしょう。今後の人間関係をより豊かにするために、ビジネスの場でより能力を発揮していくためにも、明日から積極的に「おもてなし脳」のスイッチを入れていきましょう。

参考)https://www.nature.com/articles/s41598-022-11905-2

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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