脳のはなし

”理系脳”をつくる最大の要因とは?

「自分は文系脳だから、理系は無理」「勉強しなくても数学ができるのは、生まれつき理系の脳の持ち主だけ」――そんな声を、よく耳にします。国語が得意だと文系、数学が得意だと理系。それは、生まれつきの脳の特性で決まるもの。そんな認識を持つ人が多いことからでしょう。

しかし、それは脳科学的には正しくありません。親の小学生の頃の成績と、その子どもの成績との関連を調べた調査がありますが、関連が強く現れた強化は、体育、図工、音楽でした。反対に、最も関連が少なかったのが、算数だったそうです。

つまり、生まれつき理系に向いている脳、文系に向いている脳というのは存在していないことが分かります。数学の得意、不得意は、遺伝的なものよりも、生まれ育った環境に要因があると考えるのが自然です。

例えば、「原理をつかませてその応用を考えさせる」といった土壌がある家庭で育てば、自然と数学の学習に向いた脳に育ちます。幼児ならば、スーパーに買い物へ行ったときに、「買い物カゴに入れたものの金額の合計をどんどん暗算していくゲーム」などをしていくなども、算数好きになる要因になるでしょう。「親が読書好きで、家に本がたくさんある家庭の子どもは本好きになる」のと同じ理屈です。

子どもを「理系にしたい!」と計算ドリルを押し付ける前に、まずは「自然と計算がしたくなる環境をつくるにはどうしたらいいだろう?」と考えてみることをおすすめします。

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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