脳のはなし

老化を前向きな人ほど健康で長生き

2022年にカナダのブリティッシュコロンビア大学とアメリカのハーバードT. H.チャン公衆衛生大学院に所属するEric Kim氏らの研究グループが、老化を前向きに考える人ほど健康で長生きするという調査結果を総合医学ジャーナル『JAMA Network Open』で発表しました。

この研究は、アメリカの50歳以上の約1万4,000人を対象として、老化を前向きにとらえることと、身体的な健康、健康につながる行動、心理的幸福との関係について4年間追跡調査したものです。

その結果、老化に対する満足度がもっとも高い人は、満足度がもっとも低い人に比べて、全死亡リスクが43%低いことがわかりました。
老化に対する満足度が高いとは、自分の老化を肯定的に捉えていることです。

また、老化に対する満足度が高い人は、糖尿病、脳卒中、がん、心臓病などの慢性疾患のリスクが低く、認知機能が優れているだけでなく、身体活動量が多い傾向にあり、睡眠障害も少ないということが明らかになりました。さらに、老化に対する満足度が高い人は仲間が多く、楽観的でより強い目的意識を持っているということもわかりました。

一方で、老化に対する満足度が低く、老化によって健康が害されることは避けられないと考えている人は、老化を抑制する行動を取ろうとしない傾向があるという問題点も浮かび上がりました。
趣味がない、退職したら何をすればいいかわからないという声をよく聞きます。また老後は体の自由が効かなくなるという不安もつきません。

研究グループは、新しい趣味を見つけるだけでなく、家族のサポートや目的意識が持てるようなボランティアや環境問題の活動に貢献するなど、自分の価値観にあった何らかの計画を立てておくことが大切だと述べています。

出典:https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2788853

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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