脳のはなし

夕食時間が遅いとなぜ太る?を解明

夜遅くに食事をすると太りやすりと言われています。その理由についての科学的な調査研究はこれまでありませんでしたが、2022年にアメリカのプリガム アンド ウィメンズ病院の研究グループよって医学誌『Cell Metabolism』で発表されました。

論文によると、夜遅い時間の食事は、翌日の空腹感を増し、カロリー消費量が減少し、脂肪が体にたまりやすくなるこというのです。

この研究は、肥満度指数が過体重もしくは肥満に該当する参加者16名を対象に行われたもの。早い時間の食事スケジュールと、全く同じ食事内容で4時間遅らせた食事スケジュールのそれぞれの空腹と食欲について記録し、食事時間が脂肪生成に関わる経路にどのように影響するかを血液検査や、体温、エネルギー消費量などから調べました。

その結果、食事時間を遅らせた時は、空腹感と食欲を調整するホルモンであるレプチンと、食欲を増進するホルモンのグレリンの分泌に変化が現れ、食欲に影響を及ぼすことがわかりました。

具体的には、早い時間に比べ、遅い時間に食事をとった場合、脳に満腹感を知らせるホルモン・レプチンが24時間にわたって減少。さらに日中のエネルギー消費量が減少し、エネルギー消費速度も遅くなるということです。

今回の研究で、食事時間が遅くなるほど、空腹感や食後のカロリー消費、脂肪の蓄積など、に影響を及ぼし、肥満傾向になりやすい可能性が示されました。
肥満は、心疾患や糖尿病などの病気のリスクを高める要因です。糖尿病は、血糖値が正常な人と比べ、認知症に2.1倍かかりやすいという報告もあります。
仕事が忙しいと夕食時間が遅くなりがちですが、できるだけ早めにすませることが大切です。

出典:https://www.sciencedaily.com/releases/2022/10/221004121928.htm

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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