脳のはなし

多様な食事で、認知症リスクが30%下がる!?

「1日30品目食べましょう」という食生活の指針が提唱されたのは、昭和の時代でした。肉や魚、多種多様な野菜…いろいろなものを食べることで健康を保というという、国がかかげたスローガンでしたが、好き嫌いが多い人にとっては迷惑に感じるものであったかもしれません。
しかし昨今の研究では、この指針が実は「とても脳によい」ことが判明しました。

国立長寿医療研究センターと国立がん研究センターの共同研究グループの発表によれば、女性においては、多様な食品を摂取することが、要介護認知症のリスクを低下させることが分かりました。

45~74歳の3万8,797人を対象とした食事と認知症に関するデータを分析したところ、女性においては1日に摂取する食品の種類が最も多いグループは、最も少ないグループと比べて、認知症発症リスクが33%も低下していることが確認されたのです。

男性は食多様性と認知症発症の関連は確認できませんでしたが、一人暮らしの男性に限ると、食多様性の高い女性と同様の傾向があることが認められました。

発表では「料理をしたり、献立を考えたりする食行動も認知機能の維持や認知症予防に影響したと推察される」と示されています。
「今日はどんな食材で、どんな料理をしようか」。
そんな、選ぶこと、作ること、食べることを楽しむ行動や気持ちが、「とても脳に良い」ことが分かります。毎日の食卓に多様性を取り入れて、脳の若々しさを保っていきましょう。

参考:https://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(23)00031-6/fulltext

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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