脳のはなし

骨の健康を保つことが認知症予防に

年齢を重ねると骨密度が低くなり、骨粗鬆症になる可能性が高くなります。骨粗鬆症とは、骨の強度が低下して骨がもろくなる病気のことです。骨粗鬆症は、高齢者の骨折や寝たきりの原因になると問題となっています。

そんな中、骨密度が認知症発症にも関係していることが、オランダのエラスムス医療センターと、エラスムス大学などの研究グループによって、2023年に医学誌『Neurology』で発表されました。

この研究は、認知症を発症していない平均年齢72歳の高齢者3,651人を対象に、約11年にわたり追跡調査したもの。参加者は、4年ごとにX線などの検査で骨密度を調べるとともに、認知症の検査も行いました。

研究の結果、体全体の骨密度が低い人は、骨密度が高い人に比べて、10年以内に認知症を発症するリスクが42%高いことがわかりました。研究グループは、骨の健康と認知症の関連について、さらに研究を重ねる必要はあるものの、骨密度の減少が認知症のリスクを知るための指標になる可能性があると報告しています。

骨密度の減少は、40〜50代から始まると言われています。骨の密度を保つには、ウォーキングやランニングなどの運動習慣のほか、骨を強くするカルシウムやビタミンD、ビタミンKなどを積極的にとる食事などの生活スタイルが推奨されています。

出典):アメリカ神経学会 Is bone health linked to brain health? Neurology

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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