脳のはなし

手作業で脳が若返る!?

手を良く動かすことで、脳は鍛えられる。
そんな話を耳にしたことがある人は多いことでしょう。確かに、手先を精緻に動かすことは脳の血流を高めてその働きを活性化させるというのは、様々な研究で明らかになっていることです。そして昨今の研究では、高度な手作業をすることが、高齢者の認知機能をも向上させることが明らかになりました。

昨今、筑波大学が行った研究によると、機器を使用した手指巧緻性トレーニングを行うことで高齢者の手指巧緻性だけではなく、認知機能も同時に向上することが確認されました。手指巧緻性は家事をしたり、文字を書いたり、物を持ち運んだりといった日常生活動作に直結する重要な機能であると同時に、加齢によって低下する傾向があります。

研究では、57名の高齢者を対象にトレーニング群と対照群に分けてトレーニングを行いました。トレーニング群は、センサーが付いたパネルにペグ(棒状のつまみ)を数字の順番通りに差し込んだり、数字とひらがなを交互に差し込むなど、7種類のトレーニングを行いました。

結果、難易度が高くなるほど脳血流が増大し、特に実行機能が介入群で有意に改善されることが確認されたのです。

本研究によって、これまで関連があると分かっていた認知機能と手指巧緻性の因果関係が判明したことになります。つまり、手指巧緻性をトレーニングすると、認知機能も向上するということが明らかになったのです。

料理や手芸を楽しんだり、ピアノを習ったり。指をよく動かす趣味を楽しむことは、100年時代、脳をいつまでも若々しく保つために大いに役立ちそうです。

参考):
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20230502140000.pdf(PDF)

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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