脳のはなし

ストレスをこじらせるカギは「記憶」だった!?

人間関係や仕事上のトラブルなど、私たちは常に精神的なストレスにさらされた状態におかれていますが、そのストレスが過剰になると、うつ症状に結び付いてしまうことがあります。
ところが、同程度のストレスを受けても、精神状態が安定したままの人もいれば、生活に支障が出るほどの精神症状が出てしまう人もいます。
この差を生む原因は、脳の海馬が司る「記憶」にあると、昨今、研究で明らかになりました。

東北大学と東京大学の研究チームが行ったマウスを対象にした研究によると、精神的ストレスにさらされた後、その記憶を脳内に固定するための脳波を多く発生させるほど、うつのような精神症状を生じやすくなることが分かりました。

つまり、ストレスの原因が過ぎ去ったあとでも、繰り返しそのイメージ記憶が繰り返し蘇ることで精神はダメージを強く受けてしまう……ということです。

面白いのは、記憶を強化しても、ウォーキングマシンなどで運動させたマウスはストレスへの抵抗性が高まり、無症状だったということです。つまり、運動することで記憶の固定が抑制されて、メンタルはダメージを受けづらくなるということです。

嫌な出来事があったとき、何度も思い出しては落ち込んでしまう…というのは誰もが経験したことがあるでしょう。そんなときはウォーキングに出かけたり、ジムでトレーニングをしたり、プールで泳いだりするなど、体を動かすことをおすすめします。ストレス記憶を遠ざけ、気持ちを切り替える助けになるはずです。

参考):
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press0421_01web_stress.pdf(PDF)

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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