脳のはなし

血糖値を低下させる効果が高い運動時間帯とは

高血糖の状態が続くと脳内のインスリンの働きが悪くなり、アミロイドβが増えやすくなるため認知症を発症しやすいと言われています。血糖値のコントロールは2型糖尿病だけでなく、認知症予防にもとても大切です。

中高年になると血糖値をコントロールするために、食事の栄養管理やウォーキング、ジョギングなどの運動をする人も増えますが、血糖値を下げるにはどの時間帯に運動をすると効果的かご存知でしょうか。

アメリカのブリガム・アンド・ウィメンズ病院とジョスリン糖尿病センターの2023年の研究によると、ウォーキングなどの運動は、午後に行うと血糖値が低下しやすいのだそうです。

この研究は、肥満や肥満傾向のある2型糖尿病患者2,416人(平均年齢59歳)を対象に、1年目と4年目のデータを分析したもの。参加者は加速度計記録装置を7日間装着して身体活動を測定。運動をする時間帯(朝、昼、午後、夕方)が血糖値にどのように影響するか調べました。

その結果、運動をしたグループは、あまり運動をしなかったグループに比べて、どの時間帯も血糖値コントロールの指標となるHbA1cは低下していました。中でもHbA1cの低下が最も大きかったのは、午後に中程度以上の活発な運動をしていたグループで、0.22%低下しており、ほかの時間帯に運動をしたグループに比べて、HbA1cの低下が30~50%大きいことがわかったのです。

さらに、運動習慣などの生活スタイルを改善し、体重減少に成功したグループでは、血糖降下薬などの糖尿病治療薬の服用を中止する割合が、午後に運動をしていた人が2倍以上高いということも明らかになりました。

これらの結果から、運動は午後に行うほうが、血糖値を改善する効果が高い可能性があるということです。

出典):アメリカ ブリガムアンドウィメンズ病院 ジョスリン糖尿病センター
https://diabetesjournals.org/care/article-abstract/doi/10.2337/dc22-2413/148938/Association-of-Timing-of-Moderate-to-Vigorous

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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