脳のはなし

糖尿病の人は脳の老化速度が26%早い

2型糖尿病は、認知症発症リスクを高める要因の1つと言われています。2023年に糖尿病患者の脳の老化に関する新たな研究が、生命科学・生物医科学誌『eLife』で発表されました。

この研究は、アメリカのニューヨーク州立大学ストーニーブルック校生物医工学部の研究グループが、イギリスのバイオバンクに登録している50歳〜80歳の2型糖尿病のある1,012人を含む男女2万314人の脳の検査データなどを解析したもの。MRIスキャンを使用して、糖尿病のある人とない人の脳の構造と活動を比較しました。

その結果、糖尿病のある人は、糖尿病でない同年齢の人を比べると、脳の老化が26%早いということがわかりました。

さらに、血糖値が高い状態が続いたうえに老化の影響が加わると、「作業記憶」「学習能力」「柔軟な思考」などの実行機能は13.1%、脳の「処理速度」は6.7%低下するなど、脳に影響があることが明らかになったのです。

また、糖尿病のある人は、神経細胞が集まっている灰白質が6.2%より減少することが明らかになりました。

世界の糖尿病患者数は約10人に1人と言われています。認知症発症リスクを減らすためにも、糖尿病などにならないよう生活スタイルを見直すことが大切です。

出典):アメリカのニューヨーク州立大学 ストーニーブルック校

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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