脳のはなし

歯周病が脳をむしばむ!?

現在、日本人の45歳以上の過半数が歯周ポケット保有者であり、全年齢層の約4割に歯肉出血が認められ、加齢するほどその率は高くなるといわれています。歯周病は歯を失う原因になるほか、昨今では歯周病の炎症によって発生する毒性物質が血管にのって全身をめぐり、動脈硬化や糖尿病のリスクを高めることも確認されています。

そしてさらに、最近の研究では脳にもネガティブな影響をもたらす可能性があることが分かってきました。

東北大学は55歳以上を対象としたコホート研究のデータをもとに、歯の数や歯周病、海馬の萎縮との関連について解析を行う研究を実施。その結果、軽度の歯周病においては歯の数が多いほど海馬の萎縮は遅くなるのに対し、重度の歯周病では歯が多いほど、左海馬の萎縮が速いことが分かったのです。

つまり、重度の歯周病の歯を残すことは、海馬の萎縮を速める可能性があることを示唆しています。健康な歯を残すことが、認知症予防につながる可能性が高いということが判明しました。

歯周病ははっきりとした自覚症状がないまま進行するといわれており、そのために高い罹患率を示す疾患になっているともいえます。日常的に正しい方法で歯のケアを行うと同時に、定期的に歯科で健診を受け、必要であればクリーニングを行うこと。
そんな習慣が、脳を健康に保つことにもつながるでしょう。

参考):https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/07/press20230706-03-dental.html

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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