脳のはなし

「孤独」は特殊な脳の処理から生まれている!?

昨今、「孤独」に関する医学的な研究が注目を集めるようになりました。孤独は「人の寿命を短くする」「社会的苦痛を生む」「エネルギー低下を引き起こす」など、様々な健康への影響があることが科学的にも明らかになってきましたが、最近の研究では「孤独な人の脳は特殊な情報処理を行う」ということも判明しました。

カリフォルニア大学の研究チームは、66人の大学生を対象にMRIによる脳の神経画像解析と孤独に関するアンケート調査を分析したところ、孤独感のレベルが高い人ほど、「背内側前頭前野」「前帯状皮質」「上側頭溝」など、いくつかの脳領域に特異な神経反応を示す可能性が高いことが確認されました。

これらの領域は、社会的認知や社会情報の処理に関わっているといわれています。また、孤独感のレベルが高い人ほど、ネガティブ感情に関連する脳領域が活性化しやすいことも確認されています。

研究者は「この神経の違いが孤独の原因なのか、結果なのかは不明」と語っていますが、孤独を感じやすい人は「自分はそういう脳のクセがあるのかもしれない」「実際は孤独じゃなくてもそう感じやすいタチなのだ」と自覚しておくだけで、強い孤独から抜け出すきっかけになるかもしれません。

自分の脳が作り出した「孤独」という幻にとらわれないようにしてほしいものです。

参考):https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/09567976221145316

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

※ ご自身の脳についてもっと知りたい方は、川島隆太博士監修の「脳のはなし 6日間無料メール講座」の受講をおすすめします。

  1. 脳活動と日常生活の関係性
  2. 現在脳科学でわかっている事実
  3. 効果的な脳の鍛え方

などを6日間にわたってメールでお伝えします。
ご登録はこちらから