脳のはなし

夏野菜トマトのリコピンで認知症予防

「ブレインフード」という言葉をご存知でしょうか。脳は、人間の体の2%ほどの重さですが、1日の消費するエネルギーの割合は脳が20%も占めると言われています。脳のエネルギーが不足すると、記憶力や判断力が低下するので、脳にとってよい栄養を摂ることは、脳の活性化に欠かせません。

脳の活性化が期待できる「ブレインフード」の代表的なものには、青魚やアマニ油、ナッツ類、緑黄色野菜、大豆、ベリー、卵、貝類、バナナ、トマトがあります。

中でも、旬のトマトは、欧米では「トマトが赤くなると、医者が青くなる」(トマトは栄養価が高くトマトを食べると健康体になり、病院に行く必要がなくなってしまうので、医者の稼ぎがなくなってしまうという意味)ということわざがあるほど、トマトは昔から健康食として注目されている食材です。

トマトに含まれるリコピンは、カロテノイドの一種で、カボチャやニンジンに含まれるβカロテンよりも抗酸化力が高く、動脈硬化や高血圧、がん予防だけでなく、脳の老化防止や認知症予防に役立つという報告もあります。リコピンには、認知症の原因であるアミロイドβがつくだす活性酸素を除去してくれる役割があると言われているからです。

また、2012年の米国神経学会の報告によると、血中のリコピン濃度の高い人は、低い人に比べ、認知症リスクを高める脳卒中の発症を抑えるという報告があります。さらに、2020年の中国の北京中医薬大学らの研究グループの研究では、リコピンは老化物質の1つAGEから体を守り細胞などの炎症を抑え、肥満や糖尿病の予防に役立つという報告もあります。

リコピンを摂るには、トマトをそのまま食べるのもよいですが、熱に強いので加熱料理にも向いています。リコピンは脂溶性なので、トマトをオリーブオイルなどで炒めると摂取効率が高まり、一度にたくさんのリコピンを摂取できるのでおすすめです。

出典):米国神経学会 / 北京中医薬大学

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

※ ご自身の脳についてもっと知りたい方は、川島隆太博士監修の「脳のはなし 6日間無料メール講座」の受講をおすすめします。

  1. 脳活動と日常生活の関係性
  2. 現在脳科学でわかっている事実
  3. 効果的な脳の鍛え方

などを6日間にわたってメールでお伝えします。
ご登録はこちらから