脳のはなし

スパイスとハーブで塩分・脂肪の摂りすぎを予防

アルツハイマー型認知症は、脂肪の摂りすぎやミネラル不足などの食生活の乱れが関係していると言われています。また、脳血管性認知症は、動脈硬化などは血管の老化が関係していて、塩分や脂質の摂りすぎが原因の1つであることも知られています。

中高年になると、認知症の心配だけでなく、高血圧や動脈硬化、糖尿病など生活習慣病の予防のために塩分や脂質を抑えた食生活を心がけるようになりますが、そういった食事の味に物足りなさを感じることがあるのではないでしょうか。

塩分・脂質を控えた毎日の食事の物足りなさを解決するために、ハーブやスパイスを活用する方法が効果的だという研究結果が、2023年にアメリカのペンシルバニア州立大学の研究グループにより、『Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics』誌で、発表されました。

この研究は、アメリカの国民健康栄養調査の2015~2016年と2017~2018年のデータベースを使い、脂肪・塩分・糖質が多く含まれるアメリカ人に人気のある食品10品目を特定し、調べたものです。人気食品には、ミートローフ、チキンポットパイ、ミートソースパスタ、タコスミート、マカロニ&チーズ、アップルパイ、ブラウニーなどが選ばれました。

さらに、料理専門家に協力のもと、「脂肪・塩分・糖質が多く含まれるオリジナルレシピ」「脂肪・塩分・糖質を減らした健康的なレシピ」「脂肪・塩分・糖質を減らし、さらにハーブやスパイスを活用したレシピ」の3種類を作成。参加者がそれぞれ3種類のレシピを食べるブラインドテストを実施。風味や好み、食感、外観などに加えて、どのレシピが受け入れやすいかとった側面も評価しました。

ハーブやスパイスを活用したレシピには、ガーリックパウダー、マスタードシード、カイエン、クミン、ローズマリー、タイム、シナモン、バニラエキスなどが使用されていました。
その結果、多くの人は、「ハーブやスパイスを活用したレシピ」は、「脂肪・塩分・糖質が多く含まれるオリジナルのレシピ」に比べ、味や満足感は引けを取らず、おいしいと感じたことが分かりました。

これらの結果から、ハーブやスパイスによる「香りづけ」「辛みづけ」は、塩分や脂肪分を控えて物足りなくなった料理の味を引き締めたり、風味を引き立てたりするなどの効果があるのではないかと報告しています。

これまでの研究で、スパイスやハーブには、認知症予防や記憶力などの改善効果が期待できると昔から言われています。健康的な料理の味つけに物足りなさを感じた時は、脳や体の健康のためにも、塩や醤油などを追加するのではなく、ハーブやスパイスなどを活用してみてはいかがでしょう。

出典:アメリカ ペンシルバニア州立大学

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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