脳のはなし

「アルコール脳」は回復するのか?

「酒は百薬の長」という言葉がありますが、脳にとっては逆であることが、昨今の研究で分かっています。飲酒は脳を萎縮させ、老化を促進させてしまう――お酒好きにとっては、実に耳に痛い事実が科学的に確認されているのです。

長年、なかなかの量のお酒を飲んできた人にとっては、「自分の脳は大丈夫だろうか…」と心配になることでしょう。しかし、そうした方にとっては朗報となる研究が、このほど発表されました。

スタンフォード大学が行った研究によれば、脳にダメージを負ったアルコール依存症患者が禁酒をスタートした場合、7.3カ月後には顕著に回復することが確認されたのです。

特に明確な回復が観察できたのは、「大脳皮質」の厚みとのこと。大脳皮質は、思考や学習といった、高次な働きに関連している脳の部位です。
さらに分かったのは、それまでの飲酒量が多かった人、動脈硬化がある人では、回復のペースが遅かったとのこと。

脳の健康のためには、飲酒量が増える前、健康を害する前に、日常的な飲酒は控えるのが吉、ということ。毎日の晩酌も、ときどきのお楽しみ程度にすることをおすすめします。

参考:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S074183292300263X

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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