脳のはなし

リズム運動が脳を活発に働かせる!

中学校の授業でダンスが必修になってから10年以上が経過し、SNSや動画配信サイトなどでも自らのダンス動画をアップする若者たちが増えてきました。最近流行りの多くのアーティストもまた、華麗なダンスで大衆を魅了しています。

ダンスとあまり縁のなかった大人たちは、そんな若者をみて「よくあんな動きができるなあ…」「手足バラバラに動かすなんて、器用なものだ」などといった感想が思わずもれてしまうことでしょう。

脳科学的にも、複雑な体のコントロールが必要なダンスをしているときの脳は、間違いなくフル稼働していると考えられます。

実際に、筑波大学と北海道医療大学が行った研究によれば、リズムに対して親和性が高い人は、通常の軽い運動を行っているときよりも、複雑な体のコントロールが必要なダンスをしているときのほうが、特に「前頭前野」と「前頭前野背外側部」の活性化が促進されることが確認されています。

前頭前野は思考や判断力や集中力、前頭前野背外側部は感情や欲求のコントロールと関連する脳の部位です。いずれも、人間らしい高次な働きを行うためには欠かせない、重要な部位というわけです。

楽しくリズムに乗って体を動かす。これが、脳の働きを高めるとても効果的なトレーニングになるならば、ぜひチャレンジしたいもの。とはいえ「ダンスなんて…とても無理!」という人も少なくありません。

でも、大丈夫。そんな心配は無用です。先の研究によれば「体がリズムに共鳴している」「興奮が高まった」と感じた参加者に、脳の活性化が確認されているのです。つまり、巧みに踊る必要はないということ。「楽しくリズムに乗れている」と感じられれば、効果は十分期待できるでしょう。
運動不足解消にも役立ちますから、今日から1日1回、好きな音楽をかけて、それに合わせて体を動かしてみてください。

参考:https://doi.org/10.1016/j.neuroscience.2023.08.039

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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