脳のはなし

チーズの摂取が認知機能の高さと関連!

チーズは、タンパク質やカルシウム、リン、鉄などの豊富な栄養が含まれるので、健康保持におすすめの食品の1つであり、認知症の予防に効果がある食品としても注目されています。
株式会社明治、桜美林大学、東京都健康長寿医療センターらの研究グループは、これまでもカマンベールチーズの摂取により、脳由来の神経栄養因子(BDNF)が増加することを明らかにしていました。さらに、2023年には同研究グループが、チーズを食べる習慣と認知機能の関連についての研究結果を『Nutrients』誌で発表しました。

この研究は、東京都板橋区在住の65歳以上の1,504人を対象に、筋力や敏捷性などの機能的能力測定や、チーズなどの食品摂取や生活習慣などの対面アンケート、認知機能テスト(MMSE:Mini-Mental State Examination※1)を行い、認知機能の関連を調査したものです。調査結果をもとに対象者をチーズの日常的な摂取の有無、認知機能テストのスコアが高い人と低い人に分け、解析を行いました。

その結果、チーズを「1週間に1回」以上食べた人は食べていない人に比べて、認知機能テストのスコアが高い傾向にあることがわかりました。

地域在住高齢者における認知機能低下と関連する因子図

さらに機能的能力測定でも差が認められました。チーズを「1週間に1回」以上日常的に食べている人は食べていない人と比べて、歩行速度が早く、ふくらはぎの周囲径が大きいだけでなく、歯の残存本数が多く、血中の善玉コレステロール値が高いことが明らかになったのです。また、認知機能テストのスコアが低い人は、歩く速度が遅く、ふくらはぎの周囲径が小さく、貧血気味であるという結果でした。

これらの結果から、チーズの摂取量と、歩行速度、ふくらはぎの周囲径が大きいなどの要因は、認知機能低下の起こりにくさと関連する重要な因子であるのではないかと見られています。

※1 認知機能障害を簡易にスクリーニングする検査。

出典) 明治 東京都健康長寿医療センター 桜美林大学
明治 東京都健康長寿医療センター 桜美林大学(PDF)
https://www.mdpi.com/2072-6643/15/14/3181

川島隆太
株式会社NeU取締役 CTO、脳科学研究者

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